タグ: 短編

藍馬過去

「お兄様!」 ああ、喧しい。 俺を呼び止めたのは、実の妹である蘭。 快活などとはほど遠い大人しい性格をしている妹が、俺は正直疎ましかった。 そんな夏の、とある日の事だ。 「お兄様、今日はどこ行くの?」 下校途中でばったり… Read more »

思わぬ出会い(莉結ちゃん、秋春さん)

今日も今日とて、異世界のあやかし達は自分達を喰らおうと襲ってくるのを、叩き伏せている。 ここは異世界。誰も彼もが敵なのか、味方なのかすら判別が難しい世界。 あやかしが何なのか、何故俺達をつけ狙うのか、全く分からない。だが… Read more »

決戦前?

マスター 「荊棘さん、悠斗」 荊棘 「はい、何でしょうか。言っておきますが、私はマスター様から離れるつもりはありませんよ」 マスター 「……主の厳命でも?」 荊棘 「もちろん。この身朽ち果てるまで、主人の傍に仕え共に歩む… Read more »

雪のなか(コウと莉結ちゃん)

しんしんと降り積もる、雪。 異世界でも幾度か見たそれは、触れると冷たく、『ひと』の体温であっさり溶けてしまう。 自身の掌に載ったものが溶けていくのを眺め、ふと視線を空に向けた。 どこまでも、どこまでも続いて行きそうな、否… Read more »

※放送しません

「この町は、酷い瘴気に包まれています」 変わり果てた町の散歩道を歩きながら、彼女は言った。散らばった瓦礫を器用に避けながら歩く姿は、まるで踊り子のようだ。 「このままでは、消えてしまいます。この町も、住んでいる人々も、―… Read more »

ほのぼのを敢えてぶち壊したお話

■はじまり 『昨日未明、星辰町○○地区に住まう中学一年の男子生徒が行方不明となっている事件で、警察は捜索隊を―――』 日替わりで異なる音を奏でるカフェのラジオから流れるのは、おおよそ平和とは言えないニュース。 昼休みの長… Read more »

うちのマスターがただ駄弁ってるだけ

「お前なー」 白鳥家の一室、宛がわれた客室に据え付けられた応接セット。そのソファに腰を下ろし、疲れたような表情でヒスイが口を開く。 この部屋に来るまでにも、コウはソウを制しながらも自身の好奇心に抗う事が出来ず、何度も足を… Read more »

カフェ日誌5

「さーさーのーはー、さーらさらー。のーきーばーに、ゆーれーるー」 何かの歌を口ずさみながら、くるくる踊るように歩く莉結。 その歌の意味は分からないし聞いた事もないはずなのに、懐かしい気持ちになるのは何故だろうーーと首を捻… Read more »

カフェ日誌4

翌日、カフェの仕事は昼まで。 ぱたぱた動いているカナリアやマスターに悪いなぁ、と思いながら、コウはホールの端っこのテーブルにかけて待っていた。テーブルは既に三つくっつけられ、これから来るであろう人数を示している。 隣では… Read more »

カフェ日誌3

「「七夕?」」 お客さんが疎らな、カフェのホール。 そこで、隣のテーブルをくっつけて何かをしているのが気になったコウは、同じく気になったらしい莉結と共に、そこに近寄っていった。 テーブルにいるのは、天草水樹と蒼井悠斗、暁… Read more »