タグ: 短編

カフェ日誌2

くる、くる、くるん。 リズミカルなステップを踏みながら、今しがた拭いていたテーブルから隣のテーブルに。口ずさむメロディは、いつか聴かせて貰った、名も知らぬこの世界の行進曲。 「機嫌が良いね? 莉結嬢」 そんな様子を見た青… Read more »

カフェ日誌1

「おはよう」 「はよー」 「おはようございます」 休日の開店前の扉を潜ってきたのは、御剱と間錐。テーブルを拭いていたコウの出迎えに、二人も返してくる。 「今日のデザート、何にするの?」 学校と大学がある二人は休みの日にし… Read more »

だらだらと

時は深夜。 繁華街から少し逸れた、ひっそりとした路地裏にあるそこは、喫茶店のようだった。 営業時間はすっかり過ぎているというのに煌々と明かりが灯っているのは、まだ人がいる証である。 それもそうだ、中では数人の者達がカウン… Read more »

山吹と見嶋

「なぁ、言った通りだったろ?」 こんな状況になってもヘラヘラ笑っているこいつに、殺意を抱きそうになる。腰のホルスターに存在する短銃を抜きそうになる衝動を堪えながら、俺は視線を相手に向けた。 「予言屋サンよぉ。こうなる事を… Read more »

ホスト単騎

「やー……これはちょっと、どうしようか」 赤黒い海を背後に携え、山吹日明は苦笑いを浮かべる。 難破した豪華客船の残骸。一体どの位の人間が乗っていたのだろうか、周囲に漂う瘴気は尋常ではない。 船頭に作られた、本当なら目を疑… Read more »

覚悟の先の

火蓋は切って落とされた。 飛び交う銃声と罵声。 煌めく超常現象と閃光。 それら全ては、力を得たセイバー達による所業だった。 ストッパーがなくなれば、いとも簡単に崩れる均衡を保っていたのは―― そもそも、自分達にこの非科学… Read more »

【荊マス】抑えきれない

「マスター様、デザートが出来ました」 「ありがとー。今日は何ー?」 「チョコレートワッフルです」 おやつ時の時間帯。 本日の、拠点護衛の担当は荊棘従道のみである。一応学生達はいつもより早く来れるらしいが、今のところまだ姿… Read more »

闇に堕ちた光04

二人の前に現れたのは、かつて剣を交えた男。 全身真っ黒な衣装を纏い、血のように赤い大剣を掲げた彼は、その帽子の下の瞳を更に鋭く細めた。 全身に冷や汗が流れ出すのを感じながら、山吹は男の名を口にする。 「――荊棘従道!!」… Read more »

闇に堕ちた光03

ひらり手を振って立ち去ろうとする見嶋千里を、おい、と引き留めたのは、山吹日明その人だった。 へらりと笑顔を顔に張り付け、いつものようにふざけた口調で問いかける。 「見嶋さんよぉ。アンタ、どういうつもりなんだ?」 「あァ?… Read more »

闇に堕ちた光02

「悠斗、」 「他人には理解出来ないと思うし、昔の俺ならこの選択を選ぶ事はなかったさ。けどな、俺は……それでも、助けたいんだよ。俺達のマスターを」 ぎっ、と歯を食いしばり、蒼剣を持つ両手に力が込められる。 「突然現実世界か… Read more »