※放送しません

「この町は、酷い瘴気に包まれています」

変わり果てた町の散歩道を歩きながら、彼女は言った。散らばった瓦礫を器用に避けながら歩く姿は、まるで踊り子のようだ。

「このままでは、消えてしまいます。この町も、住んでいる人々も、――私達でさえも」
「だから僕達が呼ばれた……。そうだよね? マスター」
「はい、そうです。お願いできますでしょうか、陽世新芽さん」

踊るのを止め、彼女は僕の方へと体の向きを正し、笑顔を浮かべて尋ねる。

――殺し合いが出来るか、と。

「キリがないぞ、マスター。どうする?」

腕に宿る邪悪な意志が蠢くのを理性だけで抑え込み、その力だけを顕現させ、追ってくる石なのか生体なのか分からない《何か》を撃墜させる。

「うーん、困りましたね。黒破さん、どうしましょうか?」
「それを私に聞くのか?」
「わたしも、どうすれば良いのか決めあぐねているんです。……それっ」

彼は言いながら、手に持っていた手頃な岩を背後に投げる。外しはしたものの、《何か》の動きを一瞬止めたのは僥幸である。
そして、彼は振り向き、ふむと首を傾げる。

「まぁ、取り敢えず調査、かな?」

マスターの先見の才を頼りに俺が遭遇したのは、見覚えのある姿。

「あなたは、まさか……!!」
「いつき、下がれ! ――悠斗、何でそいつに従うんだよ! そいつは、俺達の町を……!」
「暁君、危ないよ!」

自身のマスターを下がらせ、目を覚ませ、と言わんばかりに叫ぶが、悪友は鋭い殺気と、蒼剣の切っ先だけを返してきた。

背後の、虚ろな瞳を持った男は、確かに自分達の故郷を破壊した張本人。
なのに、何故お前はそいつを守ろうとしているのだ。
何故、俺にその蒼剣を向けているのだ。

答えは簡潔で、残酷だった。

「俺自身が決めた事をしているだけだ。――例えそれが、お前と殺し合いする事になったとしても」

   ■   ■   ■

繰り返すけど放送しません。

よそのマスター達お借りして、ほのぼのカフェ世界を敢えてぶち壊す下衆とは私の事だ(ゲンドウポーズ
正直すまんかった。

でも正直に言おう、くっそ楽しかった(×