コラボSS(莉結ちゃんとコウ)

「莉結嬢。俺はアンタを疑いたくはなかったよ」
「え、何のお話ですか?」
「とぼけても無駄だよ? みんなから証言を得て、最早アンタしかいないと判断したんだから」
「一体、何をでしょう? 私にはさっぱり覚えがありません」

「ソウをどこに隠したのか、教えてもらおうか?」

「…………えーと、どういう事でしょう」
「ソウの姿が見えない。最後に見たという日明によれば、――『莉結ちゃんと遊んでたぜ? もう目の保養通り越して、持ち帰りたくなる可愛さだったぜー?』」
「声真似がお上手ですね、コウさん! 日明さんには後でお話するとして……ええ、確かにさっきまでソウちゃんと遊んでいました。でも、私はソウちゃんを隠したりはしてませんよ?」
「じゃあ、その後の話を詳しくお願い出来るかな?」

「ただいまー、帰ったぜー」
「あ、おかえりなさい狼牙さん」
「おかえり、お疲れ様。荊棘さんの荷物持ち」
「ここぞとばかりに使われたぜ……。と、何してるんだ?」
「私が、ソウちゃんを隠したのではないかと疑われているんです!!」
「それにしては楽しそうだなマスター。あのちっこいの、俺も見てないなぁ」
「――きゅう!!」

「……きゅう?」
「狼牙さん! フードからソウちゃんが溶けてます!」
「溶けてる!? 溶けてるって何!?」
「うにゅう、酷いよぉ……」
「ソウ、どうしてこんなとこに?」
「遊んでる時に、ソウちゃんが眠そうにしてたのでその辺りにあった服に包んで寝かせてあげたのですが……私がいなかった間に、狼牙さんがそれに気が付かず着て出かけてしまったみたいですね」
「ええ!? お前ずっとフードの中にいたのか!?」
「いたよ!! コウから離れてるから変身出来ないし、振り落とされないようにするの大変だったんだよ!? ろーがのバカ!!」

「……莉結嬢」
「はい?」
「疑ってごめんね? お詫びに、今日の荊棘さん特製ガトーショコラ~季節の果物を添えて~は莉結嬢に譲るよ」
「いえ、私も目を放したのがいけませんし。デザートは受け取れませんので……コウさん」
「?」
「代わりに、一緒におやつタイムを堪能しましょう! それでチャラ、という奴です」
「はは、分かった」

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マスター二人は突っ込みがいないとどこまでもボケる……

(日記にあったのを再掲)