カテゴリー: 星宝
温かい心地のする、日溜まり。 「おばあちゃん!」 光でおぼろげになっている姿を見つけ、僕は声を張り上げて呼んだ。 おばあちゃんは振り向いて、笑顔を浮かべる。 「おお、どうしたんだい?」 「おばあちゃん、またあのおはなしし… Read more »
不可解だ。 何が不可解かと言うと、今自分のこの両目に映している世界が、だ。 青い空や白い雲が何処にも存在せず、ただただ下手くそに塗りたくっただけの絵画のような闇が広がっている。しかも、もう随分長い時間。 常夜の国、なんて… Read more »
#1 「すごいなぁ、蒼井君……」 まだ変身が出来ないので、ボクはマスターの隣で、彼らが作戦会議をするのを眺めていた。 自分よりもいくらか年上の人達に、怯む事なく自身の考えを伝える彼の姿は、ボクの目には眩しく映る。そんな感… Read more »
#1 後ろを気にしながらの撤退戦には、中々神経を使う。 星喰いが追ってきていないか、新手が湧いて来ないか。それぞれが周囲を警戒しながら、オーブが言う教会まで逃げてきた。 バァンと教会の両扉を開け、全員が入ったのを確認する… Read more »
#1 「よぉよぉよぉ~マスターちゃん。元気にしてっかぁ?」 その男が拠点としている廃ビルに現れたのは、昼も大分過ぎ去った時間だった。外は変わらず星空の為、そんな感覚は感じないのだが。 広間のソファにいたのは、マスターであ… Read more »
#1 西暦二○××年四月十日午後四時三十分 住宅街某所 「…………」 チリチリと、腹が痛む。 今日未明、この世界に星喰いが現れた。 場所は繁華街。幸いにも怪我人はいなかったとニュースでは報じているが、今なおこちらの世界の… Read more »
#1 西暦二○××年四月十日午前十時三十分 異世界の何処か 「マスター様、淹れたての紅茶です。どうぞ」 「あぁ、ありがとう」 カタン、とテーブルの上にマグを置き言うと、マスター様は微笑みを浮かべ礼を口にした。 私は今、今… Read more »
しんしんと降り積もる、雪。 異世界でも幾度か見たそれは、触れると冷たく、『ひと』の体温であっさり溶けてしまう。 自身の掌に載ったものが溶けていくのを眺め、ふと視線を空に向けた。 どこまでも、どこまでも続いて行きそうな、否… Read more »
#1 「とりあえず、当面の話は決まったって事で良いかしら? 異論がなければ、私は貴方から早く話を聞きたいのだけれど」 話題の終わりを見計らっていたのか、カナリアは軽く挙手をして発言し、コウに睨み付けるような視線を向ける。… Read more »
#1 「だーかーらー!! その口上は良いっつってんだろ!? 良いから部屋に案内しろ! あ? ――お前の部屋じゃねぇ!! 後で覚えてろよお前!!」 部屋の外から聞こえてくる、聞き覚えのない声。それに続くのは白鳥の声で、誰か… Read more »