カテゴリー: 星宝
「うっへぇ〜……でけぇ……」 隣に立つ暁が、右手を額の上に当てながら視線を上に上げ、気の抜けた声を上げる。状況は切羽詰っているというのに呑気だよな、と昔から変わらぬ悪友に対し、溜息を吐いた。 「暁、気を引き締めろ。死ん… Read more »
体感では、数日前。気が付けば、俺は眩い星が瞬く空の下で、何故か倒れていた。 身動きをすれば、ざり、と何かが擦れた音がする。布ではない音に眉間にシワを寄せながら、上半身を起こす。すると予想通り、俺が寝ていたのは布団でも… Read more »
「あら、蒼井クン」 散策に必要なアイテムの買い足しのため繁華街の一角を歩いていると、聞き覚えのある声が俺の名を呼ぶ声がした。 くるりと顔をそちらに向けると、短い黒髪を無造作に放ったままの格好の男性が、露店の前で屈み、… Read more »
『絶望シろ、絶望しロ!!』 思わぬ人物の登場に声を上げたが、そこに人型の星喰いが耳障りな声で叫ぶ。黒冬が振り上げられた爪を受け流しながら、口を開いた。 「驚いている場合じゃないだろ。囲まれているのが分かってる?」 「…… Read more »
「山吹さん達が帰って来ない?」 情報交換を終えて数時間後、浄化作業を終えて帰還すると、不穏な雰囲気が室内には漂っていた。怪訝に思った蒼井が代表して問いかけ、待機していたセイバーから返ってきた答えが、それである。 「ええ… Read more »
道中出くわす昆虫型の星喰いを倒しながら、三人はオフィス街のとあるビルへと辿り着いた。龍型の星喰いとの交戦地点から然程離れておらず、歩いて三十分程か。高層ビルが並ぶ街の中にあるにしてはいくらか階数が少なく、こぢんまりとし… Read more »
星が瞬く空は、遠くで火事でも起きているのか、赤黒い。電気も通じていないオフィス街は以前訪れた時と同様、僅かな星の光を受けて黒いシルエットを纏っている。それはビルの形も相まって、墓標のように見えた。 「……いつ見ても、暗… Read more »
走る、ひたすら走る。 体力は、既にほとんど残っていない。何も履いていない足は地面の石で傷付いているはずだが、確認する余裕などない。 追いかけてくる、自分より小さなふたつの影。ばっ、と飛び上がった音が耳に届いたので、慌てて… Read more »
大黒家(大黒神社) 大黒家は、古来より人ならざる者と言葉を交わし、現実世界とは別の世界からやってくるあやかし(=星喰い)と戦える力を持った子供が生まれやすい家系。奉っているのは大黒天で、神徒である鼠との縁が強い。 家宝と… Read more »
突然涙を流しながら倒れたマスターを、俺達は慌てて拠点に運び込んだ。 だが拠点に着いた後、結構時間が経ったというのに、彼はまだ眠り続けている。 狼狽する荊棘さんを落ち着かせるのも大変で、今は戦闘の疲れを癒す為に休んで貰って… Read more »